慢性症状と急性症状

体に起こる痛みやしびれなどの症状は、その発症の仕方によって扱い方が違います。
ざっくりと2つにわけると、「急性症状」と「慢性症状」になります。
この2つにはそれぞれ一応の定義がありますが、実際に施術するうえではこのようにはっきりと分けて考えることはできません。
当院が施術するうえでこの「急性症状」と「慢性症状」をどのように考えているかをお伝えします。

急性症状

急性症状は、文字通り「急に症状が発生する」場合です。
今まで感じなかった症状がいきなり現れるか、短い時間で急激に悪化するものです。
スポーツ障害や事故などによる打ち身、ムチウチ、ねん挫、骨折などは典型的な急性症状です。
通常、ぎっくり腰や寝違いなども急性症状と言われます。(当院では、このあたりの症状は急性ではないと思っています。詳しくはのちほど)
急性症状は、発生も急ですが症状の改善も比較的短期間です。

慢性症状

慢性症状は、「長い間、症状が持続するあるいは断続的に症状が発する」場合です。
いきなり症状が出るわけではなく、なんとなくいつの間にか悪い状態になってしまい、簡単には改善しません。
肩こり、首こり、腰痛などは慢性症状になります。
長い時間をかけて少しずつ悪くなっているために、最初のうちは自覚症状もありません。
また、症状が出始めても軽い違和感や短時間感じる程度の症状であるために、意識せずに放置される場合が多いです。
そのため、はっきりと症状が現れた時には症状が進行していて、改善しにくい状態になっています。

急性症状の勘違い

「前々から腰に痛みが出ることがよくあるんですよ」
と言われる場合は、明らかに慢性症状です。
ですが、良く勘違いされるのが
「昨日までは何ともなかったのに、急に痛くなったんですよ」
と言われる場合です。
急に症状が出るのだから急性症状だと思ってしまいますが、普通は事故か、特に何もしていないのに急に痛みが出るとしたら、感染症です。
ことに筋肉や関節に関する痛みやしびれの症状だとしたら、多くの場合は急性症状ではありません。
前述したように、ぎっくり腰や寝違いも急性症状ではなく、慢性症状が悪化したために症状が強く出たケースだと考えています。
日常生活の中で、あるいは仕事によって特定の姿勢を続けた場合には、その特定の姿勢を続けやすいように体のバランスが変わります。
特定の姿勢のためにバランスが変わると、全体のバランスとしては崩れてしまう事になりがちです。
全体のバランスが崩れると、本来かからないような部分に負担がかかってしまいます。(特定の姿勢を続けることで特定の部分に負担がかかってしまう事もあります)
最初のうちは、アンバランスに負担がかかったとしても、体は自動的に痛みが出ない状態(姿勢や動き)を作ろうとするので、すぐに痛みなどの症状が出ることはありません。
ただし、痛みが出ない間も負担はかかり続けています。
症状は出ていないので慢性症状とは言えないかもしれませんが、慢性的にアンバランスな状態を続けてはいるのです。
そして、体が痛みの出ない状態を作ることがむずかしくなり、限界を超えた時に急に症状が現れるのです。
このような症状の場合には本来の急性症状とは違いますから、仮に急に出た症状が短期間で改善したとしても、その裏にある慢性的なアンバランスはすぐに正しい状態に戻ることはありません。
だから、同じような条件で生活をしていると、また同じような症状が出てきます。
再び同じ症状で苦しまないようにするためには、急性的に出た症状と一緒に慢性的なアンバランスまで改善してしまう事です。
ちょっと手間はかかりますが、将来的にはその方がずっと効率的な方法です。
ちなみに、特定の姿勢を続けていなくても、慢性的に疲労している場合なども同じような経緯で症状が出てくることがあります。